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「人権教育のための国連10年」兵庫県推進連絡会

『「まけないぞう」がつなぐ想い〜KOBEから東北へ』/増島智子さん

【講演概要】
私は東京出身ですが、1995年の阪神・淡路大震災のとき、どうしても行きたいと思って神戸の地に足を踏み入れました。それまで信じていたものがすべてなくなってしまったような情景を目にして、本当にショックを受けました。それ以降考えさせられることが多いです。被災地NGO恊働センタ―はこのときできました。
昨年3月11日、東日本大震災が起き、先遣隊が発生4時間後に「行けるところまで行こう」と出発し、私は3月26日に被災地に入りました。
私たちの活動の一つに足湯ボランティアがあります。阪神・淡路大震災のときからやっていて、今は神戸の大学生を中心に足湯隊を作ってやっています。その中で被災者の「つぶやき」を拾っています。「困ったことはありませんか」と言われても、初めて会った人になかなか言えませんが、足湯をしているとぽつぽつと話をしてくれるのです。その「つぶやき」を大学の先生たちと分析しながら「市民が作る復興計画」を作ろうとしています。
もう一つが、1997年に神戸で始まった生きがい恊働事業「まけないぞう」作りです。寄付してもらったタオルで象の形の壁掛けタオルを作ってもらい、400円で販売し、100円が作り手に、50円が「まけないぞう基金」に入ります。震災の2週間後にタオルと裁縫道具を持って避難所に入りましたが、こんなときにこんなことをしていいのかと躊躇もあったし、批判も受けました。でも、実際にやるとたくさんの人が集まってくれて、できたら「わあ、かわいい」と自然に笑顔がこぼれ、「やっと津波のことを忘れられた」と言われたりもしました。「まけないぞう」事業には、仕事作り、生きがい作り、コミュニティ作りの役割があります。孫にお年玉をあげることができたと喜んでくれる人、お世話になった親戚や来てくれたボランティアにあげたらすごく喜ばれたと言ってくれる人もいます。人間は、お互いに支え合うという関係でないと、支援されるばかりというのはつらいのです。
震災から1年たって、関心が急速に薄れていると感じます。阪神・淡路大震災のとき、2か月で100万人のボランティアが来ましたが、今回は1年でやっと100万人です。「まけないぞう」の注文も1年を過ぎてぱたっとなくなっています。これから10年、20年かかる復興の中で、細く長く被災地を忘れず、見守っていきたいですし、みなさんも長いスパンで被災地に思いを寄せてもらえたらと思っています。
(当日販売された「まけないぞう」は完売しました。みなさん、ありがとうございました。)

    ■増島智子
(ますじまともこ)
被災地NGO恊働センター

     

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