本文へスキップ

「人権教育のための国連10年」兵庫県推進連絡会

〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10-8

TEL:078-241-2345

『声をひろいあげる―聞き書きで記録する地域の記憶』/岸政彦さん

【講演概要】
 岸さんはこれまで、社会学者としてさまざまなところで調査をおこなってきた。統計調査ではなく、人に会ってその人生を聞くというやり方を取っている。主なテーマは沖縄で、大阪の被差別部落で聞き取りをすることもある。
講演では、実際のインタビューと語りを示しながら、「沖縄とは何か」を個人の生活のなかから考え直すことの意味や、部落解放運動の中での個々人の語りの大切さについて話した。
 岸さんは、「生活史調査は、文字起こしは大変だけれども、誰にでもできて、それほど経費もかからない」「戦後の記憶がどんどん失われていく中で、今残しておくことが大事」「生活史のインタビュー自体が、人と人がつながり、地域のつながりを再生させることにもなる」と話し、参加者に、「もし100年前の地域の人々の生の語りがあったとしたら、すごいと思いませんか。だから、今記録して100年後に残していきましょう」と語りかけた。
 岸さんの、具体的でユーモアあふれる話を聴き、参加者からは、学校など自分の現場で地域の聞き書きをやっていきたい、などの感想が寄せられた。

【岸政彦さんの著書紹介】
『断片的なものの社会学』(2015年、朝日出版社)*「紀伊國屋じんぶん大賞2016」受賞
―路上のギター弾き、夜の仕事、元ヤクザ…人の語りを聞くということは、ある人生のなかに入っていくということ。社会学者が実際に出会った「解釈できない出来事」をめぐるエッセイ。

『同化と他者化―戦後沖縄の本土就職者たち』(2013年、ナカニシヤ出版)
復帰前、「祖国」へのあこがれと希望を胸に、本土へ渡った膨大な数の沖縄の若者たち。しかしそれは壮大な「沖縄への帰還」の旅でもあった─。 「もうひとつの復帰運動」としての戦後の大規模な本土移動。なぜ彼らのほとんどは、結局は沖縄に帰ることとなったのか。詳細な聞き取りと資料をもとに、「沖縄的アイデンティティ」、さらにはマイノリティのアイデンティティのあり方を探る。

『街の人生』(2014年、勁草書房)
外国籍のゲイ、ニューハーフ、摂食障害、シングルマザーの風俗嬢、ホームレスが語る、いろんなかたちの人生の記録。

    ■岸政彦(きしまさひこ)
■龍谷大学社会学部教授

     

a secretariat事務局

人権教育ひょうご事務局

〒650-0004
兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10-8
TEL:078-241-2345
FAX:078-242-5569