【概要】人権教育ひょうごは5月27日、第21回総会を開催しました。
総会終了後の記念行事として「若者が向き合う部落問題」と題したパネルディスカッションがおこなわれ、阿久澤麻理子さん(大阪市立大学大学院創造都市研究科教授)をコーディネーターに、事務局団体(兵庫県教職員組合、兵庫高等学校教職員組合、自治労兵庫県本部、部落解放同盟兵庫県連合会)の30歳代〜40歳の5人の青年たちが、それぞれの部落問題との出会いや経験、思いなどを語りました。
1969年に「同和対策特別措置法」が施行され、2002年に「地対財特法」(いわゆる特措法)が失効するまでの33年間は、国も自治体も同和教育・啓発に熱心に取り組んできた。今回のパネリストの5人はこの時期に義務教育を受けた世代ですが、パネルディスカッションでは、ほとんどが「部落問題学習をした記憶がない」と語るなど、これまでの部落問題学習の内容や手法についての課題が語られました。
それを受けて、「部落問題学習は学校だけではなく、家庭での教育も重要」といった意見も出されましたが、「差別意識は家庭で植え付けられることも多い。『学校で習ったけど、お父さん、お母さん、それはおかしいで』と跳ね返す力をつけさせることを学校教育には期待したい」との意見もありました。
特措法の失効で「同和問題は解決した」という間違った意識が広まり、学校現場でもこれまで熱心に取り組んできた団塊世代の教職員が大量退職する中で、教育実践が若い教員に受け継がれず、「部落問題をどう教えていいかわからない」という教員の増加を背景に、同和教育の後退が顕著となっています。その結果、若い世代の部落問題に対する認識に変化が表れています。
今回のパネルディスカッションでは、参加者からも多くの意見が出され、これからの部落問題学習について考えていく上で示唆に富むものとなりました。
■コーディネーター:阿久澤麻理子さん ■大阪市立大学大学院教授 |
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